|
3、 |
模型JETエンジンの小型化に伴う問題点の考察 |
問題点1
エンジンを小型化した場合はコンプレッサ−ロ−タ−径が小さくなることです、この事は同じ回転数で比較した場合、コンプレッサ−ロ−タ−が小さくなるほど空気の圧縮効率が落ちます、効率を上げる為には回転を高める事が要求されます下のデ−タ−を参照下さい。 |
エンジンメ−カ−サイズ別デ−タ−プロット
エンジン直径
(mm) |
コンプレッサ−ロ−タ−径換算値
(mm) |
アイドル回転数
(rpm) |
最大回転数
(rpm) |
推力
(kg) |
燃料消費量 l/min |
ケ−ス内圧力
(kgf/cm2) |
55 |
33 |
95000 |
243000 |
1.5 |
- |
1.5 |
58 |
35 |
- |
200000 |
2.5 |
- |
- |
75 |
45 |
60000 |
190000 |
3.6 |
0.14 |
- |
80 |
50 |
- |
180000 |
6.3 |
0.17 |
- |
90 |
54 |
45000 |
160000 |
7.5 |
0.18 |
1.4 |
98 |
59 |
32000 |
120000 |
10 |
0.27 |
- |
110 |
66 |
30000 |
116000 |
16 |
0.52 |
- |
180 |
100 |
- |
91000 |
35 |
- |
3.4 |
400 |
240 |
33000 |
85000 |
182 |
- |
5.5 |
コンプレッサ−ロ−タ−径はデ-タ-がありませんので換算値で多少誤差があります。 通常の値はエンジン直径の
60%程がコンプレッサ−ロ−タ−径になると思います。 ケ−ス内圧力は最大回転数時の値になります。 |
問題点2
回転を高める為には18万回転以上が可能なベアリング及びリヤ−ベアリングについては更に耐熱性が必要となります。
予測として300度C以上の温度がリヤ−ベアリングにかかると思われます、耐熱性のあるベアリングとしてはセラミックスタイプになります希望のサイズが入手できるか疑問です。 上記のベアリング仕様で市内のベアリング屋さんに相談して見ましたが、ほとんど相手にしてもらえませんでした、通常の機械屋さんでは常識を超えて非常識の世界です。
結果的には国内に汎用品としては無く特注の世界で、注文しても数ヶ月待ち及びロット単位の生産で個人が趣味で簡単に買える金額では無い事が解りました。 |
問題点3
燃焼器の全長及び容積も小さくなりますので燃焼器内で全て燃焼が完了できるか疑問です。 |
結論
回転を高める為には高性能な燃焼器・タ−ビン・シャフト構造が必要になります、但し回転だけにとらわれ燃焼エネルギ−をコンプレッサロ−タ−回転に使い果たしては肝心な推力が出てこない結果になりますバランスのとれた構造が求められます。
模型JETエンジンを製作する場合は効率の良い大きなサイズを作る事が成功への近道だと思います。
色々構造上の問題は有りますが今回は小型のJETエンジンを作りたいのです前途多難です。
|
遠心圧縮方式エンジンの基本的作動・構造は産業及び航空エンジンと模型エンジンとの違いはありません、但し模型エンジンは構造が簡単で軽量コンパクトなエンジンが要求され、模型エンジン独自の構造になっている部分が有ります。 |
実用エンジンの潤滑方法はオイルクラ−・オイルタンク・オイルポンプ・プレッシヤ−レギュレ−タ−・ストレ−ナ−を使いオイルを循環させベアリングの潤滑及び冷却をおこなっております。
現在の模型JETエンジンは、専用のオイルタンク及び圧送ポンプの装備は有りません、燃料(灯油)に5%程の潤滑用オイルを混合した燃料をポンプより圧送、燃料ライン及び潤滑ラインへ分岐されます。
ポンプより圧送された混合燃料はシャフトトンネル内に噴射されフロントベアリング・リヤ−ベアリングの潤滑及び冷却を行いシャフトトンネルのリヤ−側より排出されます、排出されたオイルのほとんどはタ−ビンロ−タ−ブレ−ド通過時に燃焼します。
エンジン回転数制御は燃料ポンプの燃料吐出量により増減しますので、潤滑油量は自動的に調整されます。
潤滑ラインの途中に内径の小さいパイプをコイル状に巻き通過抵抗を持たせコイルの長さを調整する事により潤滑油量の微調整も行っております。 |
液体燃料の高効率燃焼を実現する為には燃料の蒸発とそれに続く空気との混合を促進する必要があります、燃焼法として液体燃料を噴霧の形で燃焼室に送り燃焼圏を形成、周囲空気との間で拡散燃焼させます。(燃焼圏の温度は部分的に1600度C以上になります)
実用エンジンは液体燃料の吐出方法として一般的には加圧噴霧式・遠心噴霧式・気流微粒化式等が採用され燃料の微粒化を図ります。 |
燃料ノズルは内径の細い(0.5mm以下)ストレ−トパイプを使います。
燃料ポンプより加圧された燃料はノズルより液体の状態でフュ-エルインジェクションチュ−ブ゙内に吐出されます、チュ−ブ゙は燃焼器内に配置されていますのでエンジン運転時は高温(推定500度C以上)になります、液体の燃料は管内を通過する事により熱せられ蒸発し液体から気体となり管内に導入している加圧空気と混合され急速燃焼が可能な状態でチュ−ブ゙より燃焼室へ噴霧されます。
ポイント
上図のBのようにノズル配置が管内の中心にセットされた場合は、ノズルから吐出された燃料は直線で噴射されますので気化しにくい状態となります、Aについてはノズルからの燃料は管内の側壁にあてる事により液体の細分化及び加熱されたチュ−ブ゙の温度を有効に使え気化する割合が多くなり急速燃焼が可能となります。
フュ-エルインジェクションチュ−ブ゙の全長・内径は大きく及び板厚は極力薄い方が効率を高める(エンジンの暖気運転時間にも関係します)事ができます、但し寸法上及び材料の耐久性の問題がありますので当然限度が有ります。
Wren Turbines 社のMW54型エンジンのフュ-エルインジェクションチュ−ブ゙はS字カ−ブを描き全長を稼ぐ事及び噴射角度をつけ燃焼器内で回転した噴射を行い短い燃焼器の効率を高めています。
|
|
|