Vacuum engine
                                                

4、バキュ−ムエンジンの歴史

Vacuum engine(真空エンジン)は外燃機関の一種で、詳しい歴史資料はありませんが、英国のHenry Wood氏(ヘンリ−ウッド)が発明、1758年に特許申請をされたとの記録がりスターリングエンジン発明以前となるようです。
     
1695年頃 Denis Papin(ドニ−・ババン) フランス人
蒸気を使った最初のエンジンを試作
1698年  Thomas Savery(ト−マス・セイヴァリ) イギリス人
蒸気機関(火力によって負圧を発生し揚水する装置)特許を取得した
1712年 Thomas Newcomen (ト−マスニューコメン) イギリス人
鉱山の排水用の蒸気機関ポンプを製作
1758年 Henry Wood氏(ヘンリ−ウッド) イギリス人
Vacuum engineの特許申請
1769年 James Watt(ジェ−ムズ・ワット) スコットランド人
新方式の蒸気機関を開発
1816年  Robert Stirling(ロバ−ト・スタ−リング) スコットランド人
スタ−リングエンジンを発明

Vacuum engineは外に設置された熱源から上死点付近で熱気をシリンダ内に取り入れ熱放散で空気が収縮した圧力(負圧)と大気圧との圧力差で動くエンジンの為、非力で効率が悪く結果的には実用化されないで歴史に埋もれたエンジンのようです。
現在は模型エンジンとして海外では多数の模型エンジンビルダ−がVacuum engineの原理を応用し、多種の模型エンジンが製作されていますが国内ではあまり見かけません。
エンジンの名前は、「Vacuum engine」 「Vacuum morter」 「 Flamelicker」「Flameeater」 「Flammenfresser(ドイツ語で火を喰らうものという意味)」 等色々ありますが原理は同じです。

5、エンジンの作動について
 
原理
エンジン名はVacuum engine(真空エンジン)となりますが、大気圧を利用したエンジンです。
アルコ−ルランプの火炎を通過した高い温度の空気(大気圧より低い)をシリンダ−内にり込み、熱気をシリンダーで冷却(熱放散)する事によりシリンダ−内の圧力は更に下がり大気圧とシリンダ−内の圧力差は大きくなり負圧が発生します、発生した負圧の力でピストンを引き込み(下死点から上死点へ移動)動力を発生します。
通常のレシプロエンジンは気体の熱膨張から動力をえますが、本エンジンは逆の原理で動作します。

ポイント --- アルコ−ルランプの火炎を通過した空気は大気圧より低くなる?

    燃焼により空気中の酸素が消費され、減った酸素量の分だけ気圧が下がります。
    アルコ−ルランプの火力が強い程、気圧の変化は大きくなりエンジン性能は高まります。


作動
シリンダ−ヘッドにはシリンダ−へ通じる貫通穴が有り、先端にはクランク軸の回転と連動する開閉バルブをセットし決められたタイミングで開閉します。

本エンジンのバルブタイミング
開き開始角度 上死点前約90度
閉じ角度 下死点前約60度

Vacuum engine 作動アニメ−ション

 @
アルコ−ルランプの火炎(燃焼後の気圧の低い空気)がピストンが
  上死点から下死点に向かう時にシリンダー内に吸い込まれます。 
 A
下死点前約60度程の位置でバルブは閉じシリンダー内では熱放散が 
  始まり気圧も更に下がります。
 B ピストンが下死点を通過後、シリンダ−内の気圧と大気圧の差(負圧 
  の発生)でピストンを強く引き込み(下死点から上死点へ移動)動力 
 
を発生します。 
C 上死点前約90度程でバルブは開きシリンダ−内のガスを排出。 
この一連の行程をフライホイ−ルの慣性力を補助として連続的にクランク軸を回転させる仕組みとなっています。